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損害賠償金は自己破産しても免除されない|非免責債権について解説
交通事故や不貞行為、暴力事件などで損害賠償責任を負っている場合には、自己破産しても、すべての借金から解放されることにはならない可能性があります。
この記事では、自己破産手続きにおける損害賠償金の扱い、特に支払義務が免除されない非免責債権について解説します。
自己破産でも免除されない非免責債権とは
自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、支払い不能な状態であることを認めてもらうことで、原則として借金の支払い義務を免除してもらうための法的な手続きです。
自己破産は、債務者の経済的な更生を図ることを目的としていますが、一方で債権者の権利や社会的な公平性の観点から、たとえ自己破産手続きで免責許可決定が得られたとしても、支払い義務がなくならない非免責債権というものがあります。
損害賠償金に関する非免責債権は以下の2つです。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号)
悪意とは、単に故意であるだけでなく、積極的に相手を害する意図・害意があったことをも意味し、悪意で加えた不法行為に基づく損害には、以下のような例が考えられます。
■詐欺や横領によって相手に損害を与えた場合の損害賠償金
■窃盗や強盗などの犯罪行為による損害賠償金
■不貞行為の慰謝料
■名誉毀損やプライバシー侵害などで、害意をもって行われた場合の慰謝料
単なる契約の不履行や、通常の過失による物損事故の損害賠償金は、原則として「悪意で加えた不法行為」には該当せず、免責の対象となります。
破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項3号)
「故意または重過失」とは、以下のような意味で用いられます。
■故意
意図的に損害を与えた場合をいいます。
たとえば、暴行を加えて相手に怪我をさせた場合の治療費や慰謝料などが考えられます。
■重大な過失
通常求められる注意を著しく怠った場合をいいます。
たとえば、飲酒運転や著しいスピード違反、居眠り運転など、極めて悪質な交通違反によって人身事故を起こした場合の損害賠償金は、非免責債権となる可能性が高いです。
非免責債権がある場合の対処法
ご自身が負っている損害賠償金が非免責債権に該当する可能性がある場合、自己破産をしても、裁判所の判断によっては免責が認められず、最終的に支払い義務が残ることがあります。
そのため、債権者と分割払い交渉や示談を検討したり、専門家に損害賠償金が非免責債権に該当するかどうか早めに相談することが大事です。
まとめ
自己破産は多くの借金問題を解決する強力な手段ですが、万能ではありません。
特に、故意や重過失による人身損害、悪意による不法行為に基づく損害賠償金は、「非免責債権」として支払い義務が残り続けます。
自己破産をしたいものの、非免責債権がある場合など非免責債権でお困りの方は司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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